意外に少ない!?木質バイオマスのポテンシャル
こんにちは、小川です。
お客様との対話ではよく
再エネをしたいけど、実際にどのくらい木質バイオマスエネルギーを使えるの?
近所に山は多いけど、どのくらいのエネルギーなんだろう?
と聞かれることがあります。
最近では、脱炭素やCO2ゼロの宣言を国や多くの自治体がしていますが、
実際にどのくらいのポテンシャルがあるのか、
よくわからない方は多いと思います。
ただでさえ、よくわからないと思われがちな再エネなのに、木質バイオマスの世界はよくわからないままです。
山が多い地域であれば、森林の資源もたくさんあるはずだけど、どのくらい使えるのか?というのはよくわかりませんね。
木質バイオマスだと日本のエネルギー需要の1.8%が限界!?
ごく簡単に、木質バイオマスエネルギーのポテンシャルを計算してみたいと思います。
日本国内で消費されるエネルギーは、およそ20,000PJ(ペタジュール)とされています。
P(ペタ)は、10の15乗の単位です。
このなかに、海外から輸入する石炭、原油、ガスのエネルギー、若干の国内の水力発電、太陽光発電などの再エネが含まれます。
これに対して、木質バイオマスエネルギーを最大限使った場合を考えます。
今回は、「日本の森林が毎年成長する量」だけを木質バイオマスエネルギーとして使うと考えます。
それなら、森林を使い果たすことなく持続的に木材を生産・利用することができる…という前提です。
日本国内の森林では、毎年およそ7,000万㎥の成長量があるとされています。
2020年の日本での木材供給量(国内生産の量)は、約3,100万㎥ですので、
日本の木材はまだまだ使えるはず、ということになりますね。
途方もない量の木材ですが、今日はこれを全て燃料にすると考えます。
約7,000万㎥の木材を全てエネルギーに換算すると、およそ360PJです。
ですので、木質バイオマスで供給できるエネルギーは、
360PJ ÷ 20,000PJ = 0.018 = 1.8%
ということになります。
7,000万㎥という途方もない数字でしたが、日本全体でみるととても少ない量になります。
日本は森林大国であるとともに産業大国でもある、ということですね。
ちなみに、7,000万㎥という木材が実際に生産されたとしても、
実際には全てエネルギーとして燃やすことは出来ません。
約2,000万㎥は柱や板、合板などのマテリアル利用がされていますので、これを無視することはできません。
また、伐ったら植えるという林業のサイクルのなかで、
全量を燃料として使用してしまうのは、現状では経済合理性がありません。
(柱などの建材用途の方が付加価値が高く、また伐採後の再造林費用の捻出も必要です。)
ですから、理論上の最大値が1.8%ということに注意は必要です。
1.8%で出来る木質バイオマスエネルギーのあり方とは?
1.8%というのは、とても小さいポテンシャルと思われると思います。
私は、たとえ1.8%しか日本で使えないエネルギーだとしても、
木質バイオマスエネルギーは重要なエネルギー資源だと思っています。
限りある資源だからこそ、上手な使い方が求められる資源です。
ですので、
- エネルギー効率の高い用途を選択する(特に熱利用が重要)
- なるべく、生産される木材を産地で使いきる(運搬コストをかけない)
このようなことを注意しないと、限りある資源があっという間に使えなくなってしまいます。
FIT制度が始まって早10年が過ぎます。
残り10年の間に再び木質バイオマスエネルギーのあり方もより適正な形になるよう、
長い目と広い目で世の中を見ていく必要がありそうです。
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