木質バイオマスボイラー実践編① 施設の熱需要を分析する

バイオマスボイラーの必要能力を決めるためには

エネルギー価格が高騰し、これまで通り燃料の確保ができるのか?

先行きの見えない時期が続いています。

このような状況を踏まえて、地域の森林資源を活用する木質バイオマスボイラーへの注目が高まっています。

しかし、ただ「灯油やガスのボイラーをバイオマスに置き換える」だけでは、初期費用が大きすぎて投資回収が困難になったり、運用が不安定になったりするリスクがあります。

成功のポイントは、対象施設の熱負荷を「時間単位」で精密に分析することにあります。

熱負荷とは、ここでは1時間で使用する燃料消費量やエネルギー量になります。

なぜ「時間単位の熱負荷の分析」が必要なのか?

一般的な化石燃料ボイラー(灯油やガス)は、スイッチ一つで瞬時に出力を上げ下げできます。

そのため、施設の「最大瞬間負荷(ピーク)」に合わせて大きな能力のものを設置するのが一般的です。

そうすると、温浴施設(浴槽の加温や入湯客の給湯)では、一年を通じて本当に寒い日や入湯客の多い日以外は、ボイラーの能力としては余剰がある状態になります。

一方、木質バイオマスボイラーは、木材を燃料にすることから、点火や出力調整に時間がかかるという特性があります。

また、設備費用(イニシャルコスト)が化石燃料ボイラーに比べて高額であるため、ピーク時に合わせた過大な設備を導入すると、投資回収期間が極端に長くなってしまいます。

そこで、弊社は、既存の燃料(灯油やガス)の使用量を月別、日別、そして「時間別」に分析することを必ず行っています。

熱負荷のベースロードを担う「賢い能力選定」が大事!

以下のグラフは、ある温浴施設における1日の熱需要(浴槽の保温、お湯の使用量など)をイメージしたものです。


【時間別熱負荷分析グラフ(イメージ)】


調査の結果、1日を通して安定的に発生している熱需要(ベースロード)が見えてきます。

これは、主に浴槽の保温や入湯客の給湯の需要によるものです。

木質バイオマスボイラーでは、このようなベース部分を木質バイオマスボイラーで賄うことが適しています。

そして、一時的な需要のピーク時には既存の化石燃料ボイラーを活用する「ハイブリッド運用」が、最もコストパフォーマンスに優れた設計となります。

このようなシステム設計により、バイオマスボイラーの稼働率を最大化し、燃料費削減効果を効率的に得ることが可能になります。

バイオマスボイラーに特有の調査手法

既存のボイラーには、時間ごとの熱量を記録する装置(ロガー)がないことがほとんどです。

そうなると、上述の時間単位の熱負荷を把握するのは、案外経験が必要な領域になります。

私たちは、以下のような専門的な手法で調査を行います。

燃料カウンターのタイムラプス撮影: 化石燃料ボイラーの燃料メーターに専用カメラを取り付け、数分おきに撮影することで、どの時間帯にどれだけの燃料が使われたかを推定します。

利用客数や営業データからのシミュレーション: 温浴施設であれば入浴者数、福祉施設であれば給湯スケジュールなどから熱需要のパターンを割り出します。

実際の稼働データの取得とシミュレーションの両面で、
「1時間ごとに、どのくらい熱エネルギーを消費しているか」
を把握できるのは、弊社の強みの一つになります。

木質バイオマスと化石燃料の「ハイブリッド」

以上のように、弊社は、あえて「全量をバイオマスボイラーに代替しない」ことが提案として多いケースとなります。

このことには、経済性以外にも大きなメリットがあります。

一つ目は、バイオマスボイラー特有の対策でもあります。

バイオマスボイラーの大きくしすぎると、出力を大きく抑えて稼動します。

このような抑制した稼動をしすぎると、燃焼が不安定になり、ススやタールの発生につながり、トラブルの要因となります。

従って、無理にバイオマスボイラーの能力を大きくせず、熱負荷のピーク時は化石燃料に任せることで、ボイラーの寿命を延ばすことができます。

二つ目は、万が一、バイオマスボイラーがメンテナンスや燃料トラブルで停止しても、既存の化石燃料ボイラーがバックアップとして控えているため、施設の運営を止める心配がありません。

弊社は、バイオマスボイラーと化石燃料ボイラーの「ハイブリッド」を強く推奨します。

これにより、最小限の設備投資で、最大限の化石燃料の削減が可能となります。

化石燃料ボイラーとバイオマスボイラーとのハイブリッドのシステム
(蓄熱タンクを介すことで、このシステムを上手く使うことができます)

木質バイオマスボイラーの導入は、単なる機器の買い替えではありません。

その施設のエネルギーマネジメントを再構築するプロセスです。

私たち「合同会社もりほっと」は、現場の皆様のための視点でこのような提案を作成します。

まずは、現在の燃料代がどのくらい削減する余地があるのか、簡単な試算から始めてみてはいかがでしょうか?

投稿者プロフィール

小川 聡志
小川 聡志

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